一日に一つずつ文字と向き合う本、『一日一書』。いにしえの書から採られた文字が、日めくりのスタイルで、一ページに一つずつ掲載されている。京都新聞での連載が一年分まとめられた本だ。パソコンの印字では消えてしまった「文字を書く」という営みの豊かさを、手書き文字がよみがえらせてくれる。変幻自在の文字に親しむことが毎日の楽しみとなる。文字の洪水のなかで暮らす人間には、またとないひとときを過ごすことができる。
7月1日のページを開けると、石に彫られた「七」の文字が写真版で掲載されている。七夕にちなむものだ。7月は「文月」「文披月」(ふみひらきづき)で、書くことの大切さを噛(か)みしめる月、という文も添えてある。
文字が書かれて以来、長い歴史の歩みがあり、今日もその一歩だと感じさせてくれる本である。
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