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記号は語る 〜言葉よりも饒舌に〜

 吉沢 翠

「蹴りたい背中」には大きく分けて二種類の人間が登場する。
他者とうまくやっていける者とそうでない者であり、語り手ハツと「蹴りたい背中」の持ち主にな川は後者、語り手の友達絹代とにな川の愛するオリチャンは前者である。
 ここで興味深いのが両者の台詞だ。
両者は同じように喋っていても、実はまったく異なる文脈の中にいる。
お気づきだろうか。あちら側の人間(絹代、オリチャン、部活の人たち)の台詞には記号(特に「ー」)が多いということを。
彼らは必要もないのにやたら語尾をのばして喋る。(「どうだったかなー。」p.39、「これは"借香"かなぁ?」p.63、「癒されるかもー。」p.83等)特筆すべきは絹代で、「〜」を多用する。(「オタクだね〜」p.77、「謝ってる〜。レアだ〜」p.105等)作品中、「〜」を使うのは唯一絹代だけである。
 これは一体何を意味するのだろう?
 語尾をのばすと、どことなく幼い感じ、繕った感じに聞こえるのは私だけだろうか?
 語り手は言う。「幼稚な人としゃべるのはつらい。」「幼い人、上手に幼い人。」
 いびつに大人になってしまい、上手に幼く繕うことができない語り手の、羨望と反発を端的に表すもの、それが「ー」なのではないだろうか。そして同じ音引きでも、ただ平坦にのばすのではなく、抑揚(表情)を感じさせる「〜」を唯一使える絹代は、主人公にとってある意味、にな川以上に特別で微妙な存在であるように思えてならない。

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