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説明するな、描写しろ
気分、感情の「見本市」で新鮮な描写に出会う

谷崎漱一郎

 「楽しい時を過ごしました」という文章によくお目にかかる。ただ「楽しい」という言葉で説明されても「楽しさ」は伝わってこない。それを伝えるには、何がどうだから、どのように楽しいのかを描写する必要がある。では、気分や感情をどのように描写するのか。
 そこで小説に目を向けてみよう。どのような描写によって気分や感情を表現し、作品の世界を豊かにしているのか。ここに注目して、作品を読み返してみるとよい。とくに作者が若いと、興味深いのは、これまでにない感性での描写があるに違いないからだ。
 「蹴りたい背中」は「さびしさは鳴る」で始まる。高校の理科室の授業でグループ分けから取り残された「私」は、プリント千切りで「さびしさ」を紛らわす。それが積もった紙屑の山は「孤独な時間が凝縮された」ものだ。冒頭の部分だけでも「鬱陶しさ」「みじめさ」「やるせなさ」「違和感」「もどかしさ」「気色悪さ」「憎らしさ」を経て「息苦しさ」に至るまで、つぎからつぎへと過剰なまでに、気分や感情を表す言葉とその描写が書き連ねられている。あたかも気分と感情の描写の見本市だ。
 「さびしさ」や「孤独」をこう書くのか、「もどかしさ」はこう描くものかと、それぞれの描写を吟味してみよう。自分の表現にはない新鮮なものがいくつも見つかるはずだ。

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