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我輩は猫ではない

坂田汐見

我輩は猫ではない。れっきとした人間の両親に育てられた人間である。名前も「小太 郎」というりっぱな人間名を持っている。

しかし最近どうもおかしい。もう2年近く経つが、我が家に赤ん坊が生まれたのだ。 我輩の弟というわけだ。今考えるとその頃から悪夢が始まったように思える。この弟が とんでもない悪がきなのだ。まず常識(おきて)というものをまるで知らない。人間社 会では上下関係が当たり前であるはずだ。当然、食べ物をくれる母親が一番上である。 その次は古株の父親、そしてもちろん我輩と続く。しかしこいつは我輩を同格の遊び仲 間と思っている。我輩の縄張りをことごとく荒らし、我輩の昼寝のじゃまをし、兄であ る我輩をおもちゃのように扱う。さらに近頃、我輩を「ニャンニャン」などと呼ぶのだ。 赤ちゃん言葉にしてもこれはひどい。猫みたいではないか。こんなことでは人間社会で は生きていけない。我輩は兄として心配であるので、たまに教育しようとトイレの場所 を教えたりする。するとなぜか両親にひどく叱られるのだ。

我輩は人生の岐路に立たされ、思い悩む。家出をして意思表示をすべきか。しかしそ れではあまりにも大人気ないというものだ。それにわが弟の行く末を考えるとそうはい っていられない。兄としての責任を果たすべきだろう。まだまだ教えなければならない ことがたくさんある。メシのねだり方や食い方、顔の洗い方、心地の良い昼寝場所や季 節ごとの散歩コース…。あーしつけとは根気の要ることだ。とりあえず一眠りすること にしよう。あいつがまだ知らない、とっておきの昼寝場所、タンスの上で。

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